こんにちは「とある医師」です。
世の中に育児本と呼ばれるものは無数にあります。
インターネットで検索しても様々なランキングや「お勧めな◯◯冊!」など膨大な数に上りますが、売上ならともかく、育児書の良し悪しを順位付することは困難です。
「お勧めの〇〇冊」という記事を読んでも本の紹介のみで、どういう順位なのか不明であったり個人的には参考にしにくいと感じます。
そこでこの『育児本シリーズ』ではボクが実際に読んだ本の中から、出会えて良かった、読んで良かった本を紹介していこうと思います。
まずは【妊娠中、0歳から3歳】の育児にお勧めな1冊として『ニューズウィーク0歳からの教育』を紹介します。
この記事では以下の内容を書いていきます。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』はこんな方に特にお勧め
- 妊娠中の準備から3歳までの育児について知りたい方
- 活字だらけの本はちょっと苦手という方
- 離乳食のレシピや「使えるアイテム」という実践的な記事ではなく、科学的な見地や育て方に興味がある方
こんな方に『ニューズウィーク 0歳からの教育』は特にお勧めだとボクは考えます。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は出産前から3歳ころまで
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は活字だらけの本は苦手という方にもお勧め
書店には無数に育児書が悩んでいますよね。しっかりとした成書を読める方は良書もたくさんあります。
でも中には「字が多い本はちょっと・・・」という方。そして「読みたいけど育児に忙しくてなかなか時間が確保出来ない」という方も多いことと思います。
店頭で現物を確認するとよくわかりますが、『ニューズウィーク 0歳からの教育』はイラストや写真がふんだんに使われており、一つの記事自体は1ページから数ページです。
コンパクトにまとめられていますし、何より雑誌ですので成書よりも読み易いです。
純粋に読み易いことは、新たなメリットも生みます。
1つは、興味のある項目だけを読むことが出来ること。
1冊読んで初めて完結するタイプの本ではなく、短いトピックをまとめた本ですので読みたい部分だけまず読むなんてことも可能です。
そして薄いながらも読み通すことで活字嫌いや苦手意識がある方も、「本って面白いな」、「別の本を読んでみよう」という気になれることです。
情報源のほとんどがスマホという方も多いはず。
でも、本からしか得られない情報というものもあると思います。この本がきっかけになるかも知れません。
離乳食のレシピや「使えるアイテム」という実践的な記事ではなく、科学的な見地や育て方に興味がある方
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は、コンパクトに医学的な知見や意見を明示しながら説明をしてくれる1冊です。
出産準備品、お勧めのベビーカー、時短アイテム、離乳食などの実践的具体的な内容を知りたい方は、ひよこクラブ、たまごクラブなどをお読みになった方が良いかも知れません。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』のその内容
実は『ニューズウィーク 0歳からの教育』は年に1度、雑誌ニューズウィークから不定期に刊行される特別号です。
そしてその年ごとに少しずつ違うテーマを取り上げ、そのテーマについて最新の知見を披露してくれます。
過去のボク自身合計4年分通読していますが、毎号新しく「なるほど」と感じる発見があります。
冒頭の写真は2018年3月発売号ですが、少しバックナンバーの内容を披露します。
ボクが読んだ2014年11月発売号もとても素晴らしい是非読んで頂きたいとは思いますが発刊から凡そ4年経過し、アマゾンでも新刊として発売されていないため、次号の2016年2月の内容から一部取り上げてみます。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』2016年の内容
- 赤ちゃんの脳はこうしてつくられる
- 好き嫌いのない子に育てる方法は
- 大好きなのはママの匂い
- 賢い脳をつくる最強食品とは
- 天才児を生むのは遺伝か環境か
- 生まれる順番とIQ の不思議な関係
- 脳と体を育てる眠りの秘密
- 睡眠トレーニングを試しても大丈夫?
- 母乳育児の成功はスタートが肝心
- 困難を克服する強い心を生む秘訣
- テレビやスマホとの上手な付き合い方
- 善悪だってしっかり分かるよ
- 子どもを叱る6つのコツとは
『ニューズウィーク 0歳からの教育』2017年の内容
「理想の子育て 赤ちゃんの可能性と自然な知力の伸ばし方」というタイトルで、中身の一部は
- 赤ちゃんの脳はこうしてつくられる
- 好き嫌いのない子に育てる方法は
- 歌や楽器が知能を育てるって本当?
- 「ハッピーだから笑う」よりも深い意味
- 未熟な腸を「指導」、驚きの母乳効果
- 偏食しない子はこうして作る
- アレルギーを正しく怖がる
- すやすや眠らせる秘訣はどこに
- 乳幼児英語教材は本当に役立つか
- プリスクールの賢い選び方
- テレビとiPadの視聴時間という難題
- テレビを見せるのは親のさぼり?
- 「教育」アプリは玉石混交
- デジタル時代の賢いおもちゃ選び
- 子供の発育のために親ができること
- 思いやりのある子に育てるために
- 褒めて伸ばす、はほどほどに
- 「量より質」がパパの子育てのカギ
- 賢く元気に育てる早期教育の極意
- 子ども成長と保育園の本当の関係
『ニューズウィーク 0歳からの教育』2018年度3月発売号の内容
「心と体、成長の秘密 科学で読み解く発達のメカニズム 上手に脳を育てる、個性を伸ばす」というタイトルで、中身の一部は
- 妊娠中も快適に仕事を続けるには
- 無痛分娩と帝王切開、その誤解と実態
- データが明かす高齢出産の明と暗
- 妊婦におすすめの魚、避けたい魚
- うそをつくのは至って健全
- 「いや! 」の連発は成長の証し
- きょうだいげんかに審判は不要!
- ぐっすり眠って心と体はつくられる
- 母乳育児にまつわる5つの誤解
- 食物アレルギーは食べて予防する
- デンタルケアは乳児のうちから
- 運動習慣にして元気で賢い子に
- おむつはずしは焦らずにいこう
- 親力を伸ばすコーチング
- 水泳が得意でも水の事故には注意
- 病み上がりの子供の登園はあり? なし?
これらは一部を取り上げたものです。
一部は重複していますが、結構広い範囲で記事が書かれており、「こういうことが知りたかった!」と何かしら興味を引く項目もあるのではないでしょうか。
たくさんあって、読むのが大変そう、と感じても大丈夫です。
1つ1つの内容は数ページずつにまとめられていますので、ストレスなく興味ある箇所だけ読むことが出来るはずです。
「ニューズウィーク 0歳からの教育」が他の雑誌特別号と違うところ
Photo:Education By Sean MacEntee
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は雑誌ニューズウィークの特別号ですが、同様に「プレジデント」「アエラ」などの雑誌からも特別号として出版されています。
その中でボクが『ニューズウィーク 0歳からの教育』をお勧めする理由があります。
それは、他の雑誌が有名ママ、タレントの経験に紙面を大きく割いたり、「東大生の幼稚園時代」、や「ハーバード、イエールに入れた賢母は小学校入学までに何をした?」などの特集などを多く掲載しているからです。
タレントの育児歴や有名大学入学者の記事について思うこと
実際に聞いた話ですが、育児ママとして有名なタレントを学会イベントに招致した際、述べた内容は全て事前に事務所・マネージャーが書いたシナリオのみで、自由に発言してもらう場面では全く頓珍漢な受け答えであったそうです。
雑誌記事でも間違いなく、タレント本人の意見や経験よりも世間体・評判を優先した記事になるだろうことは想像に固くありません。
例え有名人だとして、それは育児ではなく芸や演技によるもの。
そういった意味でタレント、有名ママそのものに興味がある方ならともかく、育児の門外漢がどのように育児を経験したか?という記事をいくら読んでも得られるものはあまりないとボクは考えます。
また有名大学入学・卒業者の幼少時代を見て、◯△を習っていた、●□を読んでいたと書かれた内容をそのまま鵜呑みにして同じように進学出来るでしょうか?
そもそもいま僕らが悩んでいるのは我が子の進学よりも「人を思いやる気持ちを持つ子」「よく眠りよく遊んでくれる子」「何にでも好奇心旺盛な子」に育てる為にはどうすれば良いか?或いは「イヤイヤ期を上手に乗り切るには?」「毎日怒らないための子どもへの声掛け方法」のような日々の尽きない悩み、もっと育児の根源的な部分だと思います。
残念ながら東大生の幼少期を振り返っても、正解は得られないはずです。
そういう理由で科学的な知見であったり、或いは経験論だとしても教育に携わる人間の意見の方が圧倒的に信憑性に足る情報がベースとなっている『ニューズウィーク 0歳からの教育』をお勧めしたいと考えます。
(蛇足①;
育児に限りませんが、よくある有名大学が成功者の例として扱われている点について。
職業柄、「いわゆる東大」(医学部以外という意味)にも十分入学出来る程度の学歴を持つ医師をたくさん知っていますが、そこから間違いなく言えることは千差万別だということです。学問は得意でも対人関係や社会人としては必ずしも優れているわけではない場合も多いです。
例えば東大生を例にとっても在学生ひと学年でも3千人超もいます。
在学生全て、そして卒業生を合わせると非常に多く存在します。そんな中の数人の例を恰も代表のように扱うことは非常に危ういと思います。
受験のゴールとして「〇〇大学」という言葉がキラーコンテンツになるのはわかりますが、育児の中では大学入学はプロセスの一つであって、参考にすべき人生の成功者ではないのではないかしらなどとボクなどは考えますが、皆様はいかがお考えでしょうか?)
『ニューズウィーク 0歳からの教育』の注意点
Not very good at hide and seek / Kathleen Tyler Conklin
赤ちゃんの教育や、育児について不安を解消させてくれる格別のニューズウィークですが、3つ注意点を挙げておきます。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は海外が出典であることが多い
まず最初は、基本的には海外の論文・著作をベースにした内容であるということです。
個人的には的はずれな意見だと感じていますが、この点を理由にアマゾンで低評価としている方もおられるので一応挙げておきます。
例えば食べ物など海外での事例を全てを日本では当てはまらないというのはその通りでしょうが、だからといって読む価値がないなどという批判は飛躍し過ぎでしょう(ある号の自称教育者という方の的はずれな低レビューは逆に目を引きます)。
欧米では幼少期から自分の部屋が与えられ、一人で寝る国が多いなどは比較的有名ですよね。国が違えば文化は違って当たり前です。
対して、育児の良し悪しに人種がどこまで影響するのでしょうか?
「赤ちゃんは母親の声が一番安心する」、「子供の健康には健やかな睡眠が大切」などの事実は、普遍的なもののはずです。
ただ、海外出典が多いという事実は知っておいて損はないかも知れません。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』を探す時の注意点
もう一つ、『ニューズウィーク 0歳からの教育』の注意点を挙げておきます。
それは、本屋さんによって本棚の位置が違うことです。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』の内容は育児ですが、雑誌ニューズウィークの特別号であり、育児コーナーではなく、雑誌コーナーに陳列されている場合もあります。
『ニューズウィーク 0歳からの教育』は発売日が不定期
ボクは通算4冊購読していますが、2014年は11月発売、次号は2016年2月、以後2017、2018年は3月と発売時期はバラバラでした。
当初不定期であることを知りませんでしたので、2016年2月号が出るまで2015年11月頃頃から書店やホームページを探してはないなーと首を傾げる日々が続き、苦労しました。
先に挙げた本屋さんでの扱いと相まって、発刊の知らせを見て実店舗に探しに行ってもなかなかなくて右往左往しました。
2019年発売号も3月頃に販売されていますが、2020年は特別号ではなく、雑誌の中の一つという形で刊行されています。
その他のおすすめの本
いろいろ書いてあるけど難しそうだなと思われる方もいらっしゃるでしょう。
今はネットで直ぐに購入出来る時代ではありますが、店頭で実物を手にとって内容や薄さなどを確かめてみてはいかがでしょうか。
お勧めは、最新号を読んでみて、内容に満足すれば過去のバックナンバーを遡って購入するのが良いのではないかと思います。
年に1度の発刊ですので書店でバックナンバーを置いている書店はなかなかないかも知れませんが幸いネットなら未だ購入可能です。
「ニューズウィーク 0歳からの教育」は、妊娠中から赤ちゃんが生まれ、その成長においてお父さん、お母さんが抱える悩みや疑問に科学的に答えてくれ、「間違っていないよう」「そのままで良いよ」と優しく背中を押してくれるでしょう。
ボクも皆さん同様、育児について悩みを持っている一人です。
もちろんこの1冊で育児の悩みが全て払拭!というわけにはいきませんが、「ニューズウィーク 0歳からの教育」を初めて読んだ時、いろいろ疑問が解決し、ふっと楽になったのを覚えています。
皆さんにとって参考になれば幸いです。
他にもニューズウィークに限らず、育児に困った時にさまざまなアプローチで手助けしてくれる育児本を集めたページもあります。
実際にボクが読んで、「読んで良かった!」と心から提案出来る本を紹介していますので参考になれば幸いです。